〜making an eyelid having a fold 〜二重をつくる一重の記録

金沢大学修士2年物質化学専攻。#有機化学 #国際協力 #ソーシャルビジネス #双極性障害 #休学 #パラレルキャリア

日常の化学:紫外線をあてたらペラっと剥がれる強力シールがあったらいいな

こんにちは。

 

今日はシェアハウスのオーナーさんが3月にオープンする

カフェの建物の改装のお手伝いをしました。

 

やった仕事は主に窓にひっつく強力なシールを剥がすこと。

 

約6時間ひたすら・・・

 

この写真をみてください。

 

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頑張ってテープを剥がし終えた窓です。

粘着剤が窓にこびりついています。

この写真からも苦労がみてとれるでしょう。

この窓の1つ分のサイズのテープをとるのに15~20分を要しました。

 

まあ大変でしたね笑

 

アセトン(粘着成分を溶かすことができる有機溶剤)

さえあればこんな粘着材いちころなのに・・・・・

とはいえアセトンは一般的に出回るものでもないですし、

研究室から持ち出すわけにもいかない訳です。

 

*あ、通販では一般にも買えるみたいでした。

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search.rakuten.co.jp

 

あまりにもテープを剥がす作業が大変だったので、僕は思いました。

 

もっとなんか外部刺激で簡単に粘着物質の粘着性がなくなって簡単に外せる

粘着材はないものかと・・・・・・

 

例えば、紫外光を当てたら分子の構造が変わってテープが剥がれるみたいな。

 

というわけで

 

「光応答性接着剤」と打ってGoogleで検索してみました。

 

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案の定ありました笑

 

京都大学の先生が開発してました笑。

 

詳細はこちら

https://shingi.jst.go.jp/var/rev1/0000/1586/2016_kisoken2_6.pdf

 

少し化学の院生ぽっく原理を

このwebページと論文引用して説明します。

 

適当にしか読んでいないので間違っていたら

ご容赦ください。

 

分子はこんな感じ。

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参照:

"Light-melt adhesive based on dynamic carbon frameworks in a columnar liquid-crystal phase"

Nature communications, 2016, 7, 12094. (オープンアクセス)

 doi:10.1038/ncomms12094

 

論文のタイトルからも『液晶』をつかった接着剤らしいです。

あの液晶パネルの液晶です。

 

液晶とは液体と固体の両方の性質を併せもつ的なほにゃららですね。

ちょこっと高分子の授業でやったような・・

あんまり詳しくないのでわからない笑

 

 

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この分子は結晶の状態では

こんな感じで

V字型に積み重なった構造をとります。

 

 

このときアントラセン骨格のπ-π相互作用という謎の力によって

強く集まる力が生み出されて、それが接着力となります。

 

つまり分子が綺麗にV字型に並ぶことが大事ということです。

 

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ここに熱を加えると、

63度を超えた時点で分子が固体(solid)から液晶(liquid crystal)に変わります。

つまりさっきのV字型の構造を保ったまま、液体みたく、流動性を持ち始めます。

これで、この分子は接着剤として機能します。

(接着剤は溶けて液体じゃないと、接着剤として使えませんよね?)

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この接着剤分子3mgで8kgの重りを支えられるらしいです。(すごい!!)

 

そしてこの状態で紫外光(365nm)をあてるどうなるか?

 

こうなります!!

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きれいにV字型に整っていた分子がバラバラになってしまいます。

つまり、接着力が失われます。

 

なぜ、このように分子がバラバラになってしまったかというと

2つのアントラセンという分子が繋がってしまうことに起因しています。

 

この2つのアントラセンが光をあてると繋がってしまう現象を

アントラセンの光2量化と言います。

 

こんなやつ

 

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よくよく先ほどの図をみると・・・

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ところどころ2つV字の分子が繋がってしまっています。

これによって綺麗なV字型で並べられた分子の配列が崩れてしまっているわけです。

 

この接着剤分子まとめると

以下の図になります。

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①分子をくっつけたいものどうしの間に接着剤をつける(緑の丸がそれ)

②熱を加えると溶けて(液晶状態)、接着剤として機能

③その状態で紫外線をあてると、接着力がなくなる

 

 

ここで注意点。

もし、いたずらとかで紫外光をあてられて、粘着力が失われたら困りませんか?

 

なんとなんとこの分子!!

常温で紫外光をあてても接着力は失われません!!!

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固体状態ではアントラセンの光2量化は起きないんです!!

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この図より、60℃以下は固体状態です。

だから通常の温度では光2量化なるものは起きず、大丈夫なんです!!

防犯対策バッチリです。。

 

ちなみに温度をあげて液晶状態になると分子の距離が縮まって反応するということです。(たぶん)

 

 

そしてそして、この接着剤。

繰り返し使えます!!

こちらがその証拠です。

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粘着性が弱くなったり、強くなったりを4回繰り返しても大丈夫!!

ということをいっているわけです。

なんで、接着力が戻るのでしょうか??

それは・・・・・・

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この青丸に着目です。

170℃かけると、2つ繋がったアントラセンが元に戻るんです。

 

だから先ほどの図もよくよく注目すると

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160℃でV字のきれいな並びに戻ると言っています。

(なんで170℃じゃなくて、160℃なのかは分かりません笑)

 

 

というわけで、

紫外光をあてると接着力がなくなる摩訶不思議接着剤は世の中に存在していました!!

 

値段はしりませんけど(笑)

きっとお高いんでしょう・・・・

 

今日は身近に見つけた困ったことから、

化学でつくる機能性材料について考えてみました。

 

少しは楽しんでいただけたでしょうか?

 

今日はここまで。

ありがとうございました。